門前薬局からかかりつけ薬局へ
病院の近くや、病院の門の前にある薬局のことを「門前薬局」といい、
メリットは処方箋（しょほうせん）をもらってすぐに薬がもらえることにありますが、
その分、処方箋を持った患者さんたちが行列をつくり、
長く待たされるなどのデメリットも応じていました。
従来の薬局といえば、この「門前薬局」のように、
毎日、患者さんたちが大勢詰めかけ大忙しの薬局でしたが、
いましきりに転換を求められています。
この「門前薬局」に代わるものとして推奨されているのが「かかりつけ薬局」。
いま多くの薬局では、地域の住民の人たちの「かかりつけ」の存在となるための
さまざまな取り組みがされています。
病院の門前ではなく、地域の人々が利用・相談しやすい薬局の存在が、
新しい薬局の姿として注目されているのです。
そこで今回は、この「かかりつけ薬局」への転換の背景や現状を踏まえ、
どのように変化するのかを見ていきます。
かかりつけ薬局とは
「かかりつけ薬局」とは、どの医療機関で処方箋をもらった場合でも、
必ずそこにもっていき、薬の調剤を受けると決めた薬局のことです。
ちょっとした病気の診療や日常の健康相談などは、
身近な「かかりつけのお医者さん」で行うと安心であるように、
薬局についても、薬の使い方や疑問に答え、
よき相談相手になってもらえる「かかりつけ薬局」を持つことがすすめられています。
どこの薬局を利用するかは、患者さんの自由なのですが、
いつも利用する薬局を決めることでいくつかのメリットがでてきます。
では「かかりつけ薬局」をもっているとどんなメリットがあるのか、
その理由を疑問に答える形で説明していきましょう。
そのメリットによって患者さんが適切で安全な服薬ができ、
安心で健康な生活を送ることが可能となります。
かかりつけ薬局のQ&A
薬剤師は薬のプロフェッショナルです。
薬剤師は、薬を調剤することを専門の仕事としていますので心配ありません。
また、処方箋の内容に疑問があれば処方箋をだした医師に問い合わせますし、
必要に応じて患者さんにいろいろ質問し、適切なアドバイスをしてくれます。
かかりつけ薬局なら問題を解決してくれます。
薬局では、薬を調剤する場合、患者さんごとに薬に関する情報を「薬歴簿」に記録します。
ですから、いつも決まった薬局で調剤してもらったり、市販薬（一般薬）を購入すれば、
使用する薬の記録が1ヶ所にまとめられるので、
重複投与や副作用などのチェックができます。
また、薬について気軽に何でも相談できるので安心です。
負担は少し増えますが、薬の適正使用につながります。
薬剤師へ支払う技術料の分、窓口で支払う金額は若干増えることになります。
しかし、薬剤師の指導が治療の効果を早めたり、同じ薬の重複投与や市販薬の使用を
チェックすることにより薬のムダがなくなるので、
結果的に費用はかからないことになります。
「処方せん受付」、「保険調剤」、「基準薬局」などの表示のある薬局です。
これらの表示がある薬局では、処方せんによる薬の調剤を行っています。
地理的に便利で薬歴簿の作成や薬に関する相談に
親身になって応えてくれる薬局を選びましょう。
薬局選びの目安の一つに都道府県薬剤師会が認定する「基準薬局」があります。
基準薬局とは、薬剤師会が作った制度で各都道府県の薬剤師会が審査をして認定されます。
この制度は患者さんに対して“かかりつけ薬局の目安にしてくださいね”という、
ものさしとして位置づけられています。審査の項目ですが、大きく分けて5つあります。
1. 責任を持って処方せんを調剤している。
2. 医療提供施設として適切な体制を整備している。
3. 医薬品の供給拠点として一般用医薬品等を販売しその販売方法が適切である。
4. 地域の保健・医療・福祉に貢献している。
5. 十分な知識・経験のある薬剤師が勤務している。
以下のマークが目印です。かかりつけ薬局選びの目安にどうぞ。
処方箋の使用期間なら、いつでも調剤してくれます。
処方箋があれば代理の人でも受け取ることができます。
ただし、処方箋がない場合は、薬をもらうことはできません。
きちんと医師の診察を受けて、処方箋をもらってから薬局にいきましょう。
なお、処方箋の使用期間は交付日を含めて4日以内です。
かかりつけ薬局のメリットまとめ
- 薬歴簿（薬の服用記録）を作成し、管理してくれます。
最低2年間に服用した薬が全て記録されています。
また体に合わなかった薬等も記録しますので安心です。 - 薬の重複使用や相互作用（飲み合わせ）による副作用などを未然に防止できます。
- 複数の医療機関にかかられている方でも、
お薬の重複使用や相互作用を確認することができます。
- 市販薬をお飲みの方が薬局で処方せん調剤を受ける場合には、
市販薬との飲み合わせのチェックもできます。
- 病院・診療所の医師の発行する処方内容を知ることができます。
- 服薬指導をいつでも受けられます。
- いつも顔なじみの薬剤師なら、説明をうけやすい、質問もしやすいです。
- 寝たきりの方やお体の不自由な方には、自宅へお薬をお届けしたり、
いざという時は、休日・時間外・夜間でも相談できるサービスもあります。
医薬分業について
「医薬分業」とは、医師の診察を受けた後に、医療機関の窓口で薬をもらう代わりに
処方箋をもらい、その処方箋に基づいて街の保険薬局で薬をもらう方式のことをいいます。
処方箋には薬の種類や使い方が書いてあり、
薬剤師が患者さんの体質や薬の使用記録などを確認し、
処方箋に書かれている薬の量や飲み合わせをチェックしたうえで調剤します。
また、薬をわたす際には、正しい服用方法や留意点について指導してくれます。
医薬分業により、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担することができ、
地域医療がより充実することが期待されています。
安全
- 医師と薬剤師の二重のチェックが受けられます。
- 薬の使用や指導内容などを薬歴として記録してくれます。
- 重複投与による副作用を避けられます。
便利
- 待たずに薬をもらえます。
- 自由に薬局を選べます。
- 処方箋があれば代理人でも薬を受け取れます。
安心
- 薬の使用方法や飲み合わせなど十な説明が受けられます。
- 処方内容を知ることができ、納得して薬を使えます。
- 薬について気軽に相談できます。
